【国際部】2019韓国税務士考試会との勉強会(ソウル)

広報部長の山本祥嗣です。

9月6日(金)、韓国ソウルにて韓国税務士考試会との勉強会が開催されました。
平成22年の東京開催を皮切りに日韓両国で交互に開催され、今回でとうとう10回目です。

日時: 2019年(令和1年)9月6日(金) 15時~18時
場所: 韓国ソウル特別市 高麗大学
テーマ: 地方税業務に対する税理士の役割と現況
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この日、台風13号が朝鮮半島を縦断。良い天気には恵まれないものの、各地から集まった24名の参加者は無事、開催地である高麗大学にたどり着きました。

両会長のご挨拶を皮切りに、勉強会がスタート。
それぞれ日本語、韓国語を織り交ぜて思いやりのあるご挨拶です。

今回のテーマは、「地方税」
・・・え、地方税がテーマなの?と思ったみなさん。
韓国では数年前から地方税法の大規模な改正があり、地方自治体は地方所得税において独自に税率や税額控除などを設定できるようになったとか。地方税の税収も国の歳入の40%に達することになり重要性が増すことから、これまで以上に地方税業務において税務士が活躍できる場面が広がるようなのです。

・もし日本がそのように変わったらどうするだろう。
・その時、税理士は、青税は、どう意見するんだろう。

こういう視点を与えてくれるのが、国境を超えた活動の醍醐味なのかと思ったものです。

発表は日本側から。
中村国際副部長と平良法対策部長が登壇しました。
説明するレジュメのタイトルは「地方税業務に対する税理士の役割と現況」
会員の皆様にご協力いただいたアンケートの結果も、添付資料に含めています。

個人的には、国際副部長だった前期、部員みんなで作ったレジュメです。
立派な冊子になって巣立っていく姿にこっそりと感無量だったのです。

中村副部長がレジュメの内容を要約して説明していきます。
東本会員の通訳により進みます。

日本では地方税は様々な種類がある中で、税理士が関与する地方税は一部のもの、国税に付随して計算、申告される住民税や、償却資産税、給与支払報告なんかが良くあるところ。

どうしても国税に付随して行い、税理士も納税者も、国税だとか地方税という線引きを意識せずに過ごしていることが多いですね。改めて地方税を俯瞰すると、いろんな種類があるんだとか、ほとんど賦課課税で税理士の出番がなく運営されているとか。レジュメづくりの中で新しい発見がありました。最後に税理士が今後活躍すべき地方税の領域として、固定資産税評価員、固定資産評価審査委員会などに民間の専門家として参画したり、監査委員など税の使われ方を評価したり、通常の税理士業務で培った能力を地方税の領域でも発揮できるところがあるでしょう、という形にまとめていきました。

発表の後は、多くの質疑応答をいただきました。そもそもの制度が違うので、税理士同士では出てこない質問もちらほら。日本の常識だけで考えると視野が狭くなるものだなと、こういう時にしみじみと思うのでした。

休憩をはさんで、韓国側の発表は、ユンジヨン税務士による「地方税業務環境の変化と税務士の役割」です。

地方税関連税制の改編により、独自の税率や控除制度を設けられることになった。また地方への税源移譲で地方税の割合が40%ほどに増加するなど、その重要性が高まっているとのこと。そうであれば、納税者の権利救済だったり、納税環境の整備だったり、やるべきことがたくさんある。発表では税務士の役割として、地方税範囲への業務拡大だけでなく、税務士としての権利救済制度への対応のためスキルアップが必要だと指摘をし、また国や自治体には、事前救済制度の充実や納税環境の整備として納税者への告知方法、納税方法の柔軟化などを挙げ、納税者が地方税納付に協力する環境が必要だと述べていました。

さあ、今度は日本側からの質問タイム。
往年のレジェンドたちによる切れ味鋭い質問に、会場も締まります。
時間が限られていたので、聞きたいことの全部は聞けませんでしたが。
しかし、韓国の皆さんは日本語も勉強されていて、時折日本語で話しています。
ほんと感心しますね。

さて、難しい話の後は、のどを潤し、舌鼓を打つ!
地方税だけでなく、本場のサムギョプサルを通じて言葉の壁を越える日韓租税専門家たち!

意外と言葉って通じるものですね。適当に勉強した英語もたまには役に立つし。
いざとなったらGoogle翻訳で何とかなるものです。

二次会でも考試会のみなさんと熱く語り合い、ホテルまでお見送りを受けました。
台風が迫るものの、まだ嵐になることもなく、雨がちらつく程度のソウル市街。
2019年の勉強会の夜は無事に幕を閉じていくのでした。

ご協力いただいた国際部の皆さま、アンケートに回答くださいました会員の皆さま。
皆様のご厚意は国境を越えて、韓国の皆さまに伝わりましたよ。
その実感を持ち帰ってくることができる、楽しい勉強会&懇親会でした。

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