国際部の仲尾です。
韓国税務士考試会の第55回定期総会へ出席するため、11月20日(木)~11月22日(土)という日程で大韓民国を訪問しました。
今回の総会開催地は大邱(てぐ)。朝鮮半島南東部に位置する韓国第三の大都市圏です。今回の訪問では、考試会定期総会への参加はもとより、北大邱(きたてぐ)税務署への訪問、税務法人ウルタリの見学など、張(ヂャン)寶元(ボーウォン)会長を初めとする考試会の皆さまの温かいお心遣いとおもてなしのおかげで、大変有意義な韓国訪問となりました。
以下、主な行事と青税の未来に役立ちそうな所感を記し、参加報告に替えます。
(1)北大邱税務署訪問(11/20午後)
署長以下、署幹部との懇談と質疑応答ののち、署内見学をさせていただいた。税務署員と税務士とは「相互に協力的」であるという。職業上の利害対立があるなかで、どこまで協力的かは想像の域を出ない。しかし、互いに国家財政を支える重要な役職として、特に「税務士」の社会的地位が大変高いという印象を受けた。「小規模納税者支援はすべて税務署の仕事、一定規模以上の税務申告には税務士の認証が必須」という両国制度のちがいがそれを裏付けている。
税務署業務は、想像以上にデジタル化が進んでいた。HOME-tax(≒日本のe-Tax)の普及への努力は日本と同じ。しかしデジタル化の程度は日本の比ではない。納税者の受付とその後の処理プロセスはまるでメガバンクの窓口のよう。紙処理も圧倒的に少ない。

(2)古都慶州[仏国寺・石窟庵]視察(11/21午前)
倭の時代から日本との人的交流が盛んであった新羅。その千年の都・慶州が、大邱に近接した東の地にある。ここには、かつて大陸から日本に伝わった仏教の寺院や仏像が世界遺産としてのこされている。日本は古来より朝鮮半島経由で、多くの文明・文化を大陸から取り入れてきた。仏教伝来は百済ルートと言われているが、ここで目の当たりにした様式美は、どこか懐かしく日本と通じるものを感じた。国は違えども「とても近い関係」。だからこそ、今後もお互いを尊重しあい、大切にしていかなければならないと感じた。
(3)考試会定時総会参加(11/21午後)
総会開始は、全員起立、大韓民国「愛国歌」斉唱から始まる。第一部の会長挨拶・来賓紹介・会員表彰は、司会進行とわかりやすい音楽付きスライドに従い、迅速かつ淡々と進む。報告・決議時には、会長が壇上左手奥に無言のまま着座。その場での質問等はない。日本では、総会当日に思わぬ質問と要望がたくさん出る。それに対して、会長と総務部長が即答する。そうしたシーンはない。第二部の懇親会は、豪華な晩餐が用意され、全員参加イベント型のくじ引き大会などもあり、大いに盛り上がった。
会員間の平等と民主的な会務運営という意味では、韓国と日本との違いを痛感する場面ではあった。もちろん両国の歴史・背景がちがうので、どちらがよいか悪いかではない。懇親会では、若手の考試会員の活力・元気さに圧倒された。青税では、心若き城田英昭会員(神奈川)が一人気を吐き大奮闘したのが心に残った。



(4)税務法人ウルタリ見学(11/22午前)[ウルタリ=フェンス[=納税者を守る]の意]
代表の崔龍烈税務士(写真前列右三番目)のご厚意により、大邱市内の事務所見学をさせていただいた。事務所のデジタル化は、日本の税理士事務所よりかなり進んでいる印象を受けた。応接スペースでは、超大型タブレット画面(写真正面ガラス越し)により、紙不要での説明が可能となっている。執務スペースも然り。さすがに若干の書類はあるが、複合機は最大A4対応の小型機1台のみ。日本人訪問に向けて「そうじをした」らしい。しかし、日本の多くの税理士事務所に見られる「多忙さが垣間見える乱雑さ」はない。韓国における税務士の社会的地位の高さと相俟って、日本の税理士として、日頃の業務を深く考えさせられるところがあった。

以上、簡単ですが、韓国税務士考試会総会の参加報告とさせていただきます。幸いにも途中で事故や不手際もなく、参加者6名全員が無事に帰国の途に就きました。これも韓国税務士考試会の皆さまのご尽力の賜物であり、厚く感謝申し上げたいと存じます。そして来年は、日本の番。8月9日・全国大会さいたま市開催の成功に向けて、鋭意努力してまいる所存であります。全国青税会員の皆さま方におかれましても、どうかご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
